「備えあれば憂いなし! 健康編」
【50代から考える食育と健康】
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食育サークルたんぽぽ 代表  
食育指導士 八ヶ代 真 美


 みなさんこんにちは。「食育サークルたんぽぽ」の八ヶ代です。歌手の八代亜紀さんの「八」と「代」の間に「ヶ」を入れて八ヶ代(やかしろ)と読みます。私たち食育サークルたんぽぽは、毎日の食生活を大切に考え、共に学ぶグループです。親子食育クッキングや男性向けクッキング等の企画や本日のような食育に関する講演を実施しております。本日は食育と健康についてお話したいと思います。


健康を維持するための3つのバランス

 ここでいきなりですが、記憶力チェックをします。配布している「バランスの良い食事」と書かれた表があると思います。この表にみなさんが昨日食べた食事(朝食・昼食・夕食)を思い出して書いてください。
 いかがでしょうか。普段は、昨日食べたものを思い出すようなことはしないと思います。記憶力チェックと言いましたが、実はみなさんの記憶力を試しているのではなく、食事に対して栄養のバランスがとれているのかを意識する、ということを実感していただくために行いました。体のために摂取が大切な栄養素として、以前はタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルを五大栄養素と言っていましたが、最近では、食物繊維、フィトケミカルを加えた七大栄養素の摂取が大切だとも言われています。
 次に、みなさんが健康のために実践していることを教えてください。(以下参加者からの発表)
 ・週に2日間続けて休肝日を設けています。
 ・週に3〜4日ウォーキング(4km)をしています。
 ・週末に野球をしています。
 ・1日3食規則正しく食べています。
 ・朝食はバナナ1本と水だけにしています。
 ・軽い運動をするように心がけています。
 ・家から駅までと駅から会社までの往復(約60分)を歩いています。
 みなさんが実践していることは非常に体に良いことだと思います。特に運動が多かったですね。
 たとえば、風邪をひいたとき、薬ではその症状を緩和させることはできても、治すということはできません。ノーセラピー、ウィルスに効く薬はありません。つまり心と体の休養を含め、バランスの良い生活をすることによって自然治癒力で治るのです。
 健康を維持するためには3つのバランスがあります。それは「食事」と「適度な運動」と「心と体の休養」の3つです。健康を保つにはこの3つをバランス良く保つ必要があるのです。



元気と健康の違い

 次に、健康レベルチェックを行います。今から言う10個の質問に対し、当てはまる項目を数えてください。
 @ 朝起きたときに何となく前の日の疲れが溜まっている。
 A 朝起きたときに排便がない。
 B 階段よりエスカレーターを使用する。
 C お昼お腹が空いたら食事を取る。決まった時間に食べない。
 D 他人がウキウキしていると、うっとうしい。
 E 車を運転していて割込みされると腹が立つ。
 F 休日は家でゴロゴロしたい。
 G 立仕事をしているとき、座って休憩したい。
 H 寝付きおよび寝起きが悪い。
 I 肩こり、頭痛、腰痛のどれかがある。
 いかがでしょうか。当てはまる項目が5個以上あれば要注意です。自分では元気だと思っていても、体が健康ではないことがあるので、「元気」と「健康」とは違うのです。病気になるとき、いきなり病になることはありません。健康→疲れ→痛み→症状→病気という順に症状が悪化していきます。いかに健康レベルが高い状態を保つか、ということが大切なのです。



招かざる食べ物

 生活習慣病と呼ばれる病気が最近大人も子どもも多くなっていますが、生活習慣病は他人から感染するのではなく、自分で作る病気なのです。ですから、生活習慣病にならない食生活、をすることが大切になります。内臓脂肪など、運動で取れない脂肪は自分で食事のバランスを良くするしかないのです。
 節分のときに歳の数だけ豆を食べるという習慣がありますが、それには意味があるのです。歳を重ねていくごとに植物性タンパク質が多く必要となるからです。血液、筋肉、内臓などを作る基となるのがタンパク質ですが、植物性タンパク質の方が免疫力、集中力、気力、持続力という力を作るのです。
 同じ動物性タンパク質でも肉類より魚介類の方が体に良いのです。夕食ですき焼きを食べたときのことを思い出してください。翌朝に残りのすき焼きを見ると、白い脂の固まりが見られると思います。動物の体温は39℃〜42℃程度あり、人間の体温の方が低いため、人間の体内では冷やされることになり、動物性タンパク質と同時に体に入る脂肪が固まりとなり、体内や血管に残っているのです。逆に魚介類の体温は約0℃のため、人間の体内では温められることになり、肉類のような脂の固まりができることはありません。そのうえ、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれ、血流を良くする働きがあります。肉類のタンパク質も必要なものですが、バランスが大切ということなのです。
 また、ビタミンは大切な栄養素ですが、ペットボトルのお茶の原材料欄に書かれているビタミンCは体に必要なビタミンではなく、酸化防止剤として入っているもので、栄養はあまりないのです。
 タマゴでも同様のことがいえます。この20年間、なぜタマゴの値段が変わっていないかということを考えていただきたいです。養鶏場のニワトリは、餌をたくさん食べられるように口ばしの先端をカットされ、食べてはタマゴを生むだけの動作を繰り返しています。ニワトリたちは振り返ることもできないような狭い場所に並べられている状態のため、1羽が風邪をひくと養鶏場のニワトリ全てが感染してしまうのです。これを防ぐために餌には何かが入っているはずです。このようにして作られたタマゴを私たちは食しているのです。
 このように私たちの身の回りの食べ物には化学調味料や抗生物質が入ったものや何が含まれているかわからない食べ物が非常に多く、いくら食事に注意してもこれらを摂取しないことは不可能なのです。ではどうすれば良いのか。それは汗や便などで体の外に出すしかないのです。



体からの便り

 ここで小学校の講演でよく行う「うんちクイズ」をしたいと思います。これからうんちに関する問題を出しますので、小学校2年生くらいになったつもりで答えてください。
第1問:人の体は何でできていますか?
    (@水、A空気、B食べ物)
答え:水と答えた方が多かったですが、正解は食べ物です。人の体の70%は水分と言われていますが、やっぱり食べないことには体はできないですよね。「食」という字は「人」と「良」という字でできています。人に良い、それが本来の「食」です。人間の体は60兆個の細胞でできおり、毎日細胞が新しく入れ替わります。骨は2か月から2年で入れ替わり、胃の粘膜も1〜2日で入れ替わると言われています。人間の体は7年で別人になります。
第2問:良いうんちの色は何色でしょうか?
    (@黒、A茶色、B黄色)
答え:正解は黄色なのです。赤ちゃんのうんちは黄色ですよね。黄色のうんちは臭くないんです。これは腸内細菌のバランスが関係しており、ビフィズス菌などの善玉菌が多い証拠なのです。
第3問:良いうんちは浮かぶ? or 沈む?
答え:正解は浮かぶです。浮かぶためには食物繊維が必要です。食物繊維が多い食べ物に、ごぼう、さつまいも、りんご、とうもろこし、豆などがあります。
第4問:うんちは何でできている?
答え:食べ物のカス、細胞の死骸、腸内細菌の死骸からできています。
第5問:1日に必要なうんちの量は?
答え:こぶしを握って肘を曲げてください。その肘からこぶしの先までが1日に出すことが必要なうんちの量(長さ)なんです。たいていの人はそんなに出ていませんよね。いくら毎朝うんちが出ていても肘からこぶしまでの量が出ていなければ便秘なのです。
 大便は「大きな便り」と書きます。うんちは体からの便りなのです。みなさんも毎朝うんちをしたら直ぐに流さず、体からの便りと思って色や形を確認してください。良いうんちをすることが大切なのです。



カルシウム泥棒

 みなさんは甘いものが好きですか? 大好きな人が多いと思います。私も大好きです。しかし、甘いものを食べ過ぎると次のような症状になります。
 ・肥満(代謝しない分が皮下脂肪となり体に溜まっていく。)
 ・虫歯になりやすい。骨が折れやすい。イライラする。怒りっぽい。(カルシウム不足)
 ・だるい。疲れる。ストレスに弱い。耳が痛い。鼻がグズつく。(ビタミン、ミネラル)(免疫力の低下)
 甘いものには白砂糖が含まれています。糖はカルシウムで代謝するため、糖を取り過ぎるとカルシウム不足に陥ります。人が1日に摂取できる糖の量は体重の1/2,000までです(体重75kgであれば37.5g)。花粉症などの免疫力の低下も糖の取り過ぎによるものと考えられます。果物も食べ過ぎには注意してください。日本の果物は海外に比べて非常に甘く糖が多いのです。みなさんも糖の取り過ぎには十分に注意してください。


お魚好きやね。孫は優しい子。
お母さんは休め。

 最後に血液をサラサラにする、おすすめ食材を紹介します。
 1つ目は「オ・サ・カ・ナ・ス・キ・ヤ・ネ」です。
オ:お茶(カテキンがコレステロール値を下げます。)
サ:青魚類(DHAやEPAが豊富に含まれており血液の流れをスムーズにします。)
カ:海藻(ぬめり成分アルギン酸が血糖値の急上昇を防ぎコレステロール値を下げます。)
ナ:納豆(血栓を溶かす作用があります。)
ス:酢(有機酸が赤血球の膜をしなやかにして血流を良くします。)
キ:キノコ類(免疫機能を活性化する上、コレステロールや血糖値を下げます。)
ヤ:野菜(コレステロール値を下げ動脈硬化を予防します。)
ネ:ネギ類(消化促進や殺菌作用に加え、血栓を予防します。)

(三基商事(株)発行 情報誌「ふれあい No.95」より)

 2つ目は「マ・ゴ・ワ・ヤ・サ・シ・イ・コ」です。これは、豆、ゴマ、ワカメ、野菜、魚、椎茸、イモ、米を意味します。日本の朝食をイメージしてください。日本の朝食は非常に健康に良いのです。
 次に、おすすめとは言いませんが、「オ・カー・サン・ハ・ヤ・ス・メ」があります。これは、オムライス、カレー、サンドイッチ、ハンバーグ、焼きそば、スパゲッティ、目玉焼きを意味します。子どもさんはどれも大好きですね。大人も大好きな方が多いと思います。しかし、これらの食べ物はあまり噛まないため、能力の発達には良くありません。食べてはいけないということではなく、オカーサンハヤスメばかり食べないで、オサカナスキヤネやマゴワヤサシイコなどの食材とバランス良く食べることが大切なのです。
  ガンの細胞は35℃以下で活発になると言われています。体を温める食べ物をとってください。そして、甘いものを食べる習慣を見直してください。現在、2人に1人は生活習慣病で亡くなっています。自分の体に責任をもつことが、人生最大のお仕事であると思います。
 最後になりましたが、今日の話を聞いていかがでしたか? これほど食に対して意識していただいたことはないと思います。健康を維持するための3つのバランスである食事、適度な運動、心と体の休養の内、今日は食事について話させていただきました。ご静聴ありがとうございました。
(文責:川端 健)