企業の社会的責任と環境経営 | |
(財)ひょうご環境創造協会理事長 齋 藤 富 雄 (兵庫県 副知事) |
平素からの貴労働組合の活動に、まず敬意を表します。この度の第2期ビジョンづくり委員会での検討を読ませていただき、その視野の広さ、内容の深さに関心する次第です。まさに今後の労働組合の活動の新しい方向性を示すものとして期待をするところであります。 さて、これからの社会では、20世紀の負の遺産であるこれまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済システムから脱却し、自然と共生した持続可能な循環型社会の実現を目指し、経済システムやライフスタイルの変革を現実のものとしていくことが求められています。このため、社会の構成員である県民、事業者、行政等の全てのものが、環境問題についての関心を高め、現状をより認識し、日常生活や事業活動から生じる環境負荷を減らすなど、個人、地域レベルで環境に配慮した具体的な行動を進めていくことが必要ではないでしょうか。企業の活動においても、同様に、この環境に配慮した活動が求められています。特に近時、「企業の社会的責任=CSR」がより一層問われるようになってきました。企業活動そのもののプロセスに、社会的公正性や環境への配慮と言った項目を組み込んでいくこと、そして、その活動を企業の利害関係者(ステークホルダー)である株主や従業員また顧客、環境、地域に対して明確にしていくこと、説明責任を果たしていくことが、必要とされるようになってきました。 企業の活動は、そのあらゆる面で社会と何らかの関わりを持ち、社会と離れたところでは成立しないと考えることができます。企業の社会的責任とは、まさに企業活動の全プロセスで問われる課題となっています。 これまで、企業の社会的な評価は、財務的な指標がまずありきということでなされてきました。しかし、このような企業の社会的責任という新たな考え方が広く認識されてきたこれからの社会では、企業の社会問題に対する姿勢、とりわけ環境問題に対する姿勢がどうかということが企業の社会的評価の指標として大きな割合を占めると言っても過言ではないと言えます。 言いかえれば、その企業の財務的な価値を高めるためにも、社会的・環境的な面に対する配慮をした環境経営、企業姿勢に徹していかなくては、社会が当該企業を評価しないという時代に入りつつあると言っていいでしょう。 近年、ますます“持続可能性”ということが問われつつあります。それも従来の環境面だけではなく、人と人とのつながり、地域との連携など社会的側面を含めた持続性が言われるようになってきました。こうした考えは、欧米の企業が先行してきましたが、企業のグローバル化のなかで、最近、日本の企業の中にも積極的に取り組もうという機運が出てきています。それを更に広げていかなければならないと思います。 |
今般の神鋼環境ソリューション労働組合の連続した環境セミナーの開催は、まさにこうした企業の社会的責任を果たされる行動の一環としてとらえることが出来ます。また、このようなセミナーを企業ではなく、社員の集合体である労働組合が率先して行っておられることが、さらに評価を高めることとなるでしょう。このような取り組みをさらに発展させ、地域社会と環境の新たな相互関係を構築するという考え方で、企業と社員が一丸となって取り組まれていくことを願ってやみません。 最後になりますが、貴労働組合が、ひょうご環境創造協会が行っているモンゴルの植林活動に賛同しご協力頂いていることに深く感謝いたします。 また、貴労働組合結成50周年を記念して、兵庫県が開設する「エコハウス」に環境関連図書のご寄贈を頂いたことに厚く御礼申し上げます。 貴労働組合の今後ますますのご発展を願ってやみません。 |
結成50周年記念事業として (財)ひょうご環境創造協会へ環境関連図書の寄贈 神鋼環境ソリューション労働組合は、2005年11月1日、組合結成50周年記念事業の一貫として、(財)ひょうご環境創造協会(理事長:齋藤富雄兵庫県副知事)へ環境関連図書(500万円相当)を寄贈しました。
贈呈された環境関連図書は、兵庫県が播磨科学公園都市に明年開設予定の環境学習施設「エコハウス」(兵庫県佐用郡佐用町光都)内に「神鋼環境ソリューション文庫」として設置されることになっています。 |