私にとっての「働く」とは [2]
営業マンとして働く中で、
思い考えていること
東京ブロック    
寺 西 一 彦


自己紹介


みなさん、こんにちは!
  只今ご紹介頂きましたプロセス機器事業部で営業を担当している寺西です。今年の4月、国内営業から海外営業グループに移り、主に台湾・タイ・インドネシア・イランなどの地域を担当しています。
 実は、私は8年前に縁あってこの会社に入りましたが、それまでは某機械メーカーで7年間働いていました。また、その前の3年間の1986年から1989年までは青年海外協力隊員として南太平洋にあるフィジー諸島へ赴任し、農業機械の普及に努めました。そんな、ちょっと変わった経歴を持っています。


働くことについて考えることは、
自分を見直すこと


 関谷委員長から「新入社員、入社3年目の方に「働くことについて」をテーマに話をしてもらいたい」と依頼を受け、私は迷う事なく二つ返事で「やらせていただきます!」と申し出ました。それは何故かと言いますと、この様な場所に立ち、どんな話をしようかと考える事は、普段の生活の中では絶対に有り得ないことで、まず自分を見直す良い機会になるだろうと思ったからです。それに「新しい人に出会える機会を大切にしたい」そして「私の話を聞いた人に何かが伝われば…」と言う思いもありました。この様な機会を与えてもらった事に感謝しています。そういう気持ちで今日、この場に立たせて頂きました。


幅の広さが強みの
プロセス機器事業部の営業


 「働く」という事がテーマですから、まず、プロセス機器事業部の営業について少しご紹介します。プロセス機器事業部の営業の特徴は、「とにかく幅が広い」の一語に尽きます。当社はグラスライニング製反応機、ステンレス鋼製反応機、薄膜蒸発機など液体を取り扱う化学機器から濾過乾燥機など粉体を取り扱う機器まで幅広く取り扱っており、主力のグラスライニングでは国内に競合会社が2社ありますが、いずれもこれほどバラエティに富んだ機種は扱っていません。
 また、営業マン個人の守備範囲も広く、完成品を売る営業から部品販売や修理などのメンテナンス営業まで行っています。5年前にメンテナンスを業務としていた当社の子会社と合併してからは、必要とされる知識の幅がより一層、広く深くなりました。さらに市場は、ファインケミカル・食品・石油化学・エンジニアリングなど多種多様な業種です。そのお客様とお付き合いをさせて頂く訳ですから、会話ひとつにしても幅広い知識が求められます。受注金額においては、10基、20基と新設の機械を一度に納めた場合には億を超える場合もありますし、ガスケット1枚、Oリング1枚の注文で数千円と言った極めて少額な場合もあります。そういう意味でも非常に幅が広いのです。私は、こういう「幅の広さ」がプロセス機器営業の強みだと思っています。
 強みで言いますと、プロセス機器事業部は、ファウドラーからパンテツクそしてソリューションと、歴史も長く、その中で培ってきた「絶大なブランド力」も強みとなっています。営業としては、神鋼という大きな看板を背負ってお客様の元へ行くことになりますから、お客様からの信頼が厚い分、「その期待に応えなければいけない」というプレッシャーも大きくなり、日々プレッシャーと戦いながら仕事をしています。また、「過去の実績に頼っている」という面もあります。先輩たちが納入してくれた機器をスケールアップする仕事や、特に海外であれば、2、30年間使用した中古機器を持って行って使うといった場合もあり、神鋼の技術がそのまま海外へ行く事になります。現実的な話をすると、年度予算から逆算すると目標額は一人あたり3億円、ひと月にすると2千5百万円と決して楽な数字ではありません。これは何処の事業も同じでしょう。



プロセス機器事業の営業マンとして
働くなかで思い、考えること


 営業マンにとって必要な知識は随分と幅広いもので、客先情報や機械設備の事はもちろん社内の組織・経営の事にまで及びますが、私は、こういった知識を広げるために特別に勉強することがなくても日々の仕事や生活が勉強であると思っています。その中で、得意な分野を作って欲しいと思います。学生の時に学んできた事でも、毎日の仕事の中でも、得意な分野を持つ事を心掛けて欲しいと思います。皆さんの中でTOEICを受けた方はいますか? 600点以上で会社から10万円が貰えるテストです。5年前になりますが、私も受け1回目で10万円を頂きました。昨年11月に自分を試す気持ちで再度チャレンジしました。結果600点をクリアできました。2回目以降は賞金が出ませんでしたが…。そういった事が認められ海外営業の職に就かせてもらえたのかなぁと思っています。真実は定かではありませんが…。それから、若い人には好奇心を無くさないようにして欲しいと思います。新しいものに関心を持って積極的に取り組み、チャレンジしていって欲しいと思っています。自分で考え、変化し続けて行ってください。私も、自分や周りを見て、変わっていきたいと常に思っています。皆さんは学生時代お金を払って勉強してきましたが、会社に入るとお金を貰って勉強ができます。そういう風に考え方を切り替えて頂き、「会社の為に勉強している訳では無く、自分の為にやっている」そういう気持ちで取り組んでもらいたいと思います。それが、間接的には会社の為となると確信しています。会社は差別化技術が無いと生き残れません。グラスライニングは国内トップの位置にいますが、機種によってはそうでない物もあります。価格的には他社製品よりも若干高いかも知れませんが、トップメーカーである事を維持する為には、差別化技術が必要です。これは、人でも同じ事が言えます。一つの意見として聞いて欲しいのですが、「皆同じ考えでは面白くない。様々な考えのある集団であるべきで、そこから考えの出る会社になればいいのではないか」と思っています。それと、皆さんどこかに逃げ道をつくっておいて下さい。「逃げ道」と言うと語弊がありますが、居場所ですね。「家族の待っている家」でもいいですし「趣味」でもいいです、また「話を聞いてくれる人を探しておく」でも、何でもいいのです。自分が安らげる場所を見つけておく、そして残しておく事も大事だと思います。



与えられた環境のなかで
生きていくことが大事


 私が海外青年協力隊員として赴任した南太平洋のフィジー諸島の人々は、あまり深く考えずに「楽に」といった考えで、陽気で、明日食べるものには苦労しないといった発想です。あくせく働く事がないので、そういう生活もいいなと思うほどです。しかし、「私がフィジーで生きていけるか」となると、日本で育った私には無理だと思ってしまいます。確かにフィジーは気候に恵まれ、美しい山と海に囲まれ、陽気な人々が暮らすパラダイスの様な国なのですが、只それだけではありません。フィジーも人種問題や様々な問題を抱えています。パラダイスでは決してないのです。大事な事は、与えられた環境で生きていく事であり、家族の事、会社の事、自分の事、いろんな事を考え、仕事をしながら生きていくことなのです。



まとめ


 私は、会社というより「個人の事、個人の幸せ」が、ひいては「会社の幸せ」に繋がるという考えです。会社から給料を貰ってはいますが、給料を貰っているという事は皆さんの仕事の結果です。逆の言い方をすれば、皆さんが会社を養っているのです。表現の違いだけですが、「どう考えるか?」という事です。前向きになるのか? 後向きになってしまうのか?のどちらかになるのです。日々行っている事自体は、皆さん大差ないのではと思っています。
 私の考えや経験をお話しましたが、共感する部分もあれば、当然受け入れられない部分もあったでしょう。でも、それで良いと思います。先ほども述べさせて頂きましたが、
 「皆さん同じ考えでは面白くない。いろんな考えのある集団であるべきで、そこから考えの出る会社になればいいのではないか」そして皆さんが「働く」ということを考えるとき、何かひとつでも参考にしていただければ大変うれしく思います。

 以上、ご静聴ありがとうございました。



プロフィール
1962年生まれ  石川県出身
1984年  東京農業大学 卒業
1986年  青年海外協力隊でフィジーへ派遣
職種:農業機械(稲作の機械化)
1989年  (株)石川製作所入社 繊維機械
輸出営業 配属
1993年  同社 産業機械 国内営業配属
1997年  神鋼パンテツク入社
化工機事業部 国内営業配属
2005年  プロセス機器事業部
営業部 海外Gr 配属