その後、娘が正看護師になり、息子が大学生、末っ子が高校受験の時一度は諦めかけていた正看護師への道に挑戦しようと決意し、47歳にして勤務先である県立光風病院を2年間休職し、高等看護学校へ行くことになりました。
2年後、国家試験に合格し正看護師になり、職場復帰も果たしこれ以上ない夢が叶い、「もう思い残すことはない」といった幸せな気持ちでいっぱいでした。そんなある日、大きな事故にあってしまいます。運転中、後続のトラックに追突され、前を走行していたトラックの下に潜り込むような形で衝突し、車のボンネットは紙切れのように折れ曲がり、生きているのが不思議なくらいの大事故に遭いました。その時、父が「人間、使命あるうちは死なない」と言ったことばが思い出されます。こうしてみなさんと会えたのも、いろんな方との出会いも、寿命があったからこそだと思い嬉しく感じております。 |
「使命があるうちは死なない」を実感した大事故 |
昔の諺(ことわざ)の中に「袖摺り合わすも多少の縁」という言葉がありますが、父が言うには「タショウ」とは「他生」と書き、人との出会いというのは、仏教で説く三世の生命観による過去世においても縁があり、生まれ変わった現世においても出会うことであり、本日お会いしたみなさんともどこかで出会っていたのかも知れませんね。
これまで私が講演した健康セミナーはどちらかというと女性の参加者が多かったのですが、本日は男性ばかりのセミナーということもあり嬉しい反面、とまどってしまいそうな感じがしています。でも、セミナーというよりもみなさんと一緒に考える機会になれば良いなと思っています。
本日のテーマは「生涯青春は心と身体の健康から」ということですが、今とても重要なテーマだと感じています。先ほど井上会長のご挨拶の中で「青春とは人生の期間を言うのではなく、心の持ち方をいう。歳を重ねるだけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いる。人は自信とともに若く、恐怖と共に老いる。希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる」という詩の一節を引用されていました。私もこの詩がたいへん好きで、興味を持って聞かせていただきました。
私は「心」と「身体」は別々にあるものではなく、「心」の健康によって「身体」を支え、また「身体」の健康によって「心」を支えるといった表裏一体となるもので、「心」と「身体」はその二つがなくてはならない存在というテーマだと思っています。
このセミナーに参加されてるみなさんは、最近、朝晩の急激な冷え込みも関係なく、お顔を拝見する限りとても健康そうな感じがしています。私も含めみなさんの年代は、今の季節のように「秋」ではないかと思っています。この季節、山々を飾る紅葉がありますが、朝晩の冷え込みが厳しい中でこそ艶やかな色になります。みなさんの人生においてもたいへんな苦労や試練があり、それらを乗り越えられたからこそ、山々の紅葉のようにみなさんは輝いているのではないでしょうか。
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