ジャンプアップセミナーでの質疑


1.当社バイオマス技術により
初受注できた要因は何ですか

 講演の中でも話しましたが、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成金事業としてコープこうべさんにて実証実験を行いました。実際に排出される食品廃棄物を使用してメタン発酵のデータをとったことで、信憑性の高い提案ができたと思っています。パイロット規模での実証実験を行ったのは当社だけでした。技術的には当社のオリジナル技術で、汚泥減量化を達成できるエステプロセスを組み込むことで他社との差別化を行いました。また、既設の排水処理設備は15年ほど前に当社が納入していまして、食品廃棄物と排水の「一体型処理設備」として性能保証できることも評価されたのではないかと思います。以上の理由で当社が受注されたということです。

2.脱臭についてはどのような
処理を行っているのでしょうか

 今回の設備には脱臭設備は含まれていません。汚泥を可溶化するエステ槽からの排気ガス中には微量のアンモニアが含まれるため、既設の脱臭設備(活性炭吸着塔)で処理することにしています。食品廃棄物の前処理(分別)のところでも生ゴミ臭が発生しますが、現在設置されている貯留設備周辺の臭いと同等ということで、客先了解のもと脱臭設備は設置しないことにしました。今回は場所が六甲アイランドということで近くに民家がありませんが、設備周辺に民家がある場合は脱臭設備が必要になると思います。

3.この設備におけるエネルギー
収支と費用対効果はどの程度
見込まれているのですか

 今回の設備計画にあたってはエネルギー自己完結型の設備を目指しました。検討の結果、おからを乾燥するための熱源として廃油だけでは不足することが分かり、外部から都市ガスを供給することになりました。設備駆動のための動力とリアクターの加温熱源(温水)は、メタン発酵で回収したメタンを発電(コージェネ)することで回収できます。
 乾燥熱源、動力、温水以外で用役費として発生するのは、工業用水、計装空気、反応促進剤と機械メンテナンスになります。現状の廃棄物処分(産廃処理)費から設備導入による経費削減費を試算し、償却年数を試算しますと約3年(補助金導入で約2年)となります。従いまして、今回の設備導入により、規制を遵守でき、地球温暖化防止に貢献できるだけでなく、廃棄物処分費用を大幅に削減することもできます。

4.ドイツにおける廃棄物
バイオマス資源化の取り組みは
どれくらい進んでいるのですか

 ドイツは環境先進国のイメージが強いと思いますが、ドイツでは1986年に成立した廃棄物回避・処理法に基づいてバイオマス資源化設備が急増しています。80年代はコンポスト化が中心で500ヶ所以上の設備が稼働しています。しかし、90年代に入ってメタン発酵が採用されるケースが増えてきました。理由は、メタン発酵は廃棄物を減量できるだけでなく、得られたメタンを発電して電気や熱として利用できるからです。発電した電気は電力会社が買取る義務があるので、売電費を収益として見込むことができます。残った廃棄物はコンポストにすることが多いようです。メタン発酵設備は10トン/日以上の比較的大きな設備だけでも50ヶ所以上が稼働中です。


5.動植物性残渣(ざんさ)に
ついてはメタン回収が可能との
説明を聞きましたが、
「おから」からはメタン回収
ではなく、乾燥して飼料
とするのはなぜですか

 講演の中でも話しましたが、廃棄物のうち、豆腐、パン、麺などの製造ロス(5ton/日)は成分変動が大きいため、リサイクル製品とするよりメタン発酵させてエネルギーを回収する方が得策と考えてPAMEDISを適用しました。一方、おから(13ton/日)は乾燥処理により含水率の低い乾燥おからに変えて、これを家畜の飼料として販売することにしました。以前よりおからの飼料化は検討されていますが、量の確保や品質保証の問題で、近年は採用されるケースは少なくなっていました。今回は、単一工場から約4500ton/年のおからが安定して発生することと、非遺伝子組換原料を使用していて安全の面で付加価値が高いという理由から乾燥設備の導入に踏み切りました。

6.今後のメタン発酵技術は
当社の中でどのような位置づけと
なっていくのでしょうか

 先ほどの説明で、バイオマスの利用技術としてマテリアル利用とエネルギー利用の2つがあって、今後、バイオマスの資源化を普及させていくには後者のエネルギー利用、その中でもメタン発酵が主流になることを話しました。特に当社が大きな市場として考えている食品廃棄物や家畜糞尿など水分率の高いバイオマスの資源化処理としてはメタン発酵が最も優れていると言えます。ガス化や飼料化を採用するケースもあると思いますが、メタン発酵がバイオマス資源化の核になると考えています。

7.食品廃棄物と汚泥では
メタン発生量がどれくらい
違うのでしょうか

 単位廃棄物量当たりのメタン発生量は、食品廃棄物で約100Nm3/wet-ton、下水汚泥で8Nm3/wet-tonと食品廃棄物の方が10倍大きい数字になります。水分率が違っているためにこのような差になるのですが、単位固形物量当たりでは、食品廃棄物で約500m3/dry-ton、下水汚泥で260m3/dry-tonで、単位固形物量当たりで見ると下水汚泥に対して食品廃棄物の方が約2倍のメタン発生量となります。下水汚泥のメタン発酵設備も下水処理場で稼働していますが、この数字から見ますと、食品廃棄物をメタン発酵するメリットの方が大きいことが分かると思います。

8.今後の食品廃棄物における
市場規模はどれくらい
見込まれているのでしょうか

 食品廃棄物の発生量(2000万ton/年)とプラントの設備規模(5ton/d)からおおよその市場規模を想定しますと約5,000億円となります。仮に設備を10年間で導入していくとしますと、本格的な設備導入後の年間市場規模は約500億円/年となります。当社の目標シェアを10%としますと、売上の目標は50億円/年となります。先ほど当社の新聞記事を紹介しましたが、06年度の売上目標とほぼ一致しています。