こうして実行計画も決まり、その責任者を命じられたのですが、私自身、何をすればよいのか、しばらくは手がつかないまま、日にちだけがどんどん過ぎていき内心は非常にあせりました。
そんな頃に、神戸東監督署の元署長である茶園先生が研修会の企画に賛同して下さり、一気に今回の研修会開催へと話が展開しました。ここで、これまでの3回の研修会について少し振り返ってみたいと思います。
・第1回労対委員研修会(2002年12月7日)
…自分の身は自分で守る
「安全衛生について」をテーマに、労働安全の歴史や安全管理の根幹である労働安全衛生法について勉強しました。とくに印象的であったのは、労働安全衛生規則は、「先人の血で書かれた文字」と言われたことです。過去の災害(先人の血)が起こってから、これらの災害を防止するために後追い的に出来た規則であるということです。労働安全衛生規則はいわば災害事例集であり、過去の災害を二度と起こさないように出来てきたのです。また、この研修会でのキーワードは、「自分の身は自分で守る」でした。これは茶園先生が34年間安全衛生に関する仕事に携わってきた中で、「職場の安全衛生」について考える結論であり、自分の身を自分で守るためには、「危険に対する感性」を持ち合わせ、何が危険であるのかを感じ、改善していくことを繰り返すことにより安全衛生が確保されていくのです。この危険に対する感性を高めるためにも、労働安全衛生法や安全衛生に関する法律を学び、安全衛生に対する知見をもつことが重要であると学びました。
・第2回労対委員研修会(2003年1月25日)
…仲間の身も自分で守る
尼崎労働基準協会のKYトレーニングコーディネーターである兼松講師をお招きし、「『安全』とは何か、KYトレーニングに学ぶ」をテーマとして講義を受けました。安全はなぜ必要であるのかから始まり、安全活動はどのように行っていくのかという安全管理の実例を勉強し、全員参加によるKYトレーニングの「4ラウンド法」を実習しました。この「4ラウンド法」は、1ラウンドで現状把握、2ラウンドで本質追究、3ラウンドで対策樹立、そして4ラウンドで目標設定を行うことで、作業を行う場合の問題点や危険を抽出し、対策案から目標を設定する手法です。すでに勉強したり実際の業務の中で行っている人もいましたが、事務所部門の委員など今まで経験の無かった委員も経験することができ貴重な研修となりました。また、日常業務の中でKYを行っている委員に対しても、本来のKYは、KYをすることが目的ではなく、KYを行うことで危険に対する感受性や問題解決能力を高めることを目的としているということを学びました。この研修会のキーワードは、「仲間の身も自分で守る」でした。人は、緊張が途切れることやうっかりミスなどヒューマンエラーを起こすものであり、このような場合、自分だけでは守りきれないことがあるので、周りの仲間が「危ない!」と声を掛け、お互いが守っていくことが大切なことです。このように仲間をも守るという気持ちを持ち、自分の体を自分で守っていくと同時に仲間の身を守っていくことの大切さを学びました。
・第3回労対委員研修会(2003年2月22日)
…組合員の身も組合が守る
第3回目は再度、茶園先生に来て頂き、「過労死(過労自殺)を防止するために」をテーマとして講義を受けました。ここ数年、労働死亡災害は「絶対に起こしてはいけない」という職場風土が整い「安全文化」というものが出来つつある中、過労死で亡くなる方は急増しています。大きな社会問題の一つであり、行政も過労死の防止へと軸足を移しています。講演の中でいくつかの事例が紹介されましたが、私たちの周囲でいつ起こっても不思議ではないとも言えます。過労死を防止するためには、@長時間労働をしないA健康診断後の適切な処置が重要であることを勉強しました。この研修会のキーワードは「組合員の身も組合が守る」でした。「労働組合としても、今のご時世だから仕方がないではなく、『サービス残業をしない、長時間労働をなくそう』運動を進めていってもらいたい」と講師が力説されたことが印象的でした。社会問題となっているこのテーマに対して「人ごとではない」との認識で具体的なアクションを取ることが急がれると考えています。
・第4回労対委員研修会(2003年4月26日)
…自分の身も仲間の身もみんなで守る
そして、本日シリーズ最終回として、先ほど茶園先生から「災害事例に学ぶ」をテーマとした講演をして頂きました。二度と悲惨な災害を繰り返さないために9件の災害事例を学び、命の尊さを勉強しました。この講演のキーワードは「自分の身も仲間の身もみんなで守る」です。茶園先生が最後におっしゃった「双葉にして断たざれば、斧を用いるに至る」という言葉に示すように、小さな危険の芽をひとつひとつ潰していくことが、最も重要であり、その積み重ねが「自分の身も仲間の身もみんなで守っていく職場環境」へとつながっていくことを学びました。
以上が4回の研修会で学んだことです。私だけではなく、参加された労対委員の一人ひとりが、多くのことを学び感じ、決意されたことと思います。ぜひそのことをパンテツクユニオンとしての今後の活動に生かしていかなければならないと強く決意しています。
|