環境活動事例紹介C
三菱重工労組神船支部における
福祉への取り組み
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三菱重工労働組合神戸造船支部   
執行委員 福 岡 琢 也


 本日は事例紹介ということで、三菱重工労組の神船支部における社会福祉活動の取り組み状況について報告させていただきます。
 私たちは三菱重工業の労働組合で、全国に13ある組織の中の神戸造船所に勤務する組合員で組織されています。神戸造船所を略して神船ということです。
 私たちも、当初は労働組合の活動として社会福祉活動に取り組んでいましたが、労働組合の本来業務は福祉活動やボランティアではないので、災害時の門前募金などしかできず、何かをしたいという気持ちにこたえるべく、「神船社会福祉委員会」という組織を立ち上げ、具体的な社会福祉活動に取り組むことにしたわけです。
 その神船社会福祉委員会に、29歳以下の若手組合員で組織する、労働組合の青年部的な集まりであるMYM(ミツビシ・ヤング・ミート)という組織が協力しながら、社会福祉活動に取り組んできました。
 こうした労働組合の活動に会社としても協賛し、様々な活動に会社と協同で取り組んでいます。「何かをしたいけど、どうしたらいいのか分からないという一般組合員の思い」と、「企業として広がりを持ってCSR活動に取り組みたいという会社の思い」、そして「企画力や機動力、社会への影響力を持つ労働組合の力」の3つがひとつになり取り組む活動になっています。



エコキャップの取り組み
 まず始めに紹介したいのは、エコキャップ活動です。現在、ペットボトルは約250億本が使用されており、その内の62%が回収されています。そして37%が再資源化されているのです。ペットボトルを回収し再資源化するには、PET樹脂とは異なる樹脂で作られている、ラベルやペットキャップを取り外す必要があります。こうしたペットキャップが可燃ゴミとなって処理されればCO2発生にもつながり、分別されずにペットボトルと一緒に処理されれば再資源化できなくなります。
 そこで、ペットキャップを分別・回収し、有価物として処理することで、世界中にいるワクチン接種ができない子ども達にワクチンを送る活動に協力しています。
 現在、ワクチンが手に入らないために、1日に6000人の子ども達の命が失われていると言われていますが、ペットキャップ800コで、1人の子どもにワクチンを送ることができるのです。
 私たちは、これまで70万個のペットキャップを回収し、874人分のワクチンに相当する支援を行ってきました。


植樹活動
 次に紹介するのは、丹波篠山で会社と協同で取り組んでいる、企業の森の活動です。これは、平成21年度から5カ年計画で展開されており、1回あたり90名程度の規模で、これまで6回実施してきました。
 午前中に里山整備や植樹などの活動を行い、午後からは地元住民のみなさんとの交流も含めた農業体験の活動を行っています。子ども達も参加した田植え体験や、黒豆の収穫作業など、楽しんで継続してもらえるような活動になるよう工夫をしています。
 最初は参加者を集めることに苦労していましたが、子どものスペースを作って世話をした樹木に名前入りのプレートを掲げるなどといった地道な活動のお陰で、現在ではリピーターも出てくるほど定着してきました。

 地域との共生という観点から、事業所近辺の清掃活動にも取り組んでいます。月に一度、第2水曜日の昼休みに約40名の人間で清掃活動を行っています。
 最初はなかなか参加者が集まらず苦労しましたが、参加1回で1枚のボランティア券を発行し、その券が5枚たまると500円相当のスルッとKANSAIのカードと交換できるようにするなどの工夫で、今では活動が定着してきたと感じています。
 また、スルッとKANSAIのカードについても、赤い羽根共同募金を通じて購入しており、こちらも間接的に福祉活動につながっています。
 その他、東日本大震災の被災地に対する活動も行っています。これは私たち独自の活動ではないのですが、組織内議員(川原田弘子)の紹介で、NPOの取り組みを偶然見つけ、連絡を取って始まった活動です。
 具体的には、津波で家族や家を流され、思い出さえも残らなかった被災者の方々に向けて、津波で流され持ち主が分からなくなった写真やアルバムを清掃し、新しいアルバムに入れて被災地に送り返す活動です。
 最近の写真は、デジカメで撮影してプリンターで印刷しているものが多く、一度水に濡れてしまうと滲んでしまうものが多く、とても残念な思いをしたのですが、昔のそれこそ戦時中の白黒写真の方が、泥を落とすとくっきりと昔の姿を現わし、大変驚きました。
 こうしてきれいに再生された写真やアルバムは、写真の裏書きにあるメモを頼りに、明らかになった情報を表紙に記入して被災地に送り返すのですが、実際に、元の持ち主のところまで届くものは3割にも満たないそうです。しかしながら、全てではないにしても一人でも多くの人が、思い出を取り戻すことができたと聞き、本当にやって良かったと感じた次第です。



東日本大震災の写真再生活動


 他には、書き損じはがきの回収にも取り組んでいます。これは神船支部だけの取り組みではなく、三菱重工労働組合全体で取り組んでおり、連合を通じてユネスコが取り組んでいる基金になっています。
 年賀状などの書き損じはがきは、郵便局で50円から5円の手数料を差し引いて45円で換金してもらえます。この45円という金額は、ネパールでは鉛筆が7本に、アフガニスタンではノートとボールペンに、インドでは4人分の給食になります。
 三菱重工労働組合では、3年間の取り組みで、約2万3千枚のはがきを集め、約104万円強の金額を支援してきました。その内、神船支部では約2千8百枚のはがき、12万6千円相当の金額を集めたことになります。


 最後に海外からの留学生への支援について紹介したいと思います。
 従業員の家族から、家庭で使われなくなった暖房器具を回収し、暖房器具を持っていない海外からの留学生に届ける活動です。石油ストーブなどは回収できないのですが、電機ストーブやこたつ、布団など、これまでにトラック3台分を回収し、届けることができました。
 その他にも、自然災害や貧困地域に対して、コートやTシャツなどの支援衣類を集め、届けてきました。
 こうした一つひとつは、小さな活動ですが、たくさんの人の手で大きな活動に広がり、継続していくことで、厚みのある活動に成長していることを実感しています。
 これからも、こうした活動にひとりでも多くの若い方に参加してもらえるよう、地道な活動を続けていきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

以 上