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冷たい水プロジェクト実行委員長 大 野 公 一


 みなさんこんにちは。
 本日は、お休みのところ、当社で働いている従業員やそのご家族のみなさん、関係団体のみなさん、そしてエコユニオンの活動にゆかりのある多くのみなさん方にお集まりいただきました。
 日頃は、私たちユニオンの活動に対し、ご理解、ご協力をいただき、さまざまな形でご支援をいただいております。そして、本日もこのように多くのみなさんにお集まりいただきましたこと、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
 主催者を代表して、ひと言ご挨拶を申し上げます。
 今回は、このイベントを開催するにあたり実行委員会方式を採用し、若手組合員が中心となったビジョンづくり委員を実行委員として、「冷たい水プロジェクト実行委員会」を立ち上げ、具体的な企画を進め展示や文化交流の準備を行ってきました。
 なぜプロジェクトの名前が「冷たい水プロジェクト実行委員会」なのかということは、後ほどお話しするとして、まずは、私たちエコユニオンとモンゴル国との交流について、その経緯を含めて少しお話をさせていただきます。
 エコユニオン(当時はパンテツクユニオンと言っていました)が、モンゴル国との交流を始めたのは1999年でした。当時、モンゴル国は社会主義から民主主義へ国家の制度が変わり、それまで技術的にも経済的にも支援を行ってきた旧ソ連が引き上げたことにより、大変な経済混乱を起こしていました。その影響で、親から見捨てられた子どもたちがマンホールに住み着き、このマンホールチルドレンと呼ばれる子どもたちの支援から、モンゴル国との付き合いが始まりました。
 多くのみなさんから「なぜモンゴルなの?」という質問を受けますが、その答えは、阪神・淡路大震災が関わっています。あまり知られていないことですが、震災の際に一番早く支援物資を運んでくれたのがモンゴル国でした。当時のプレブドルジ副首相が関空まで大量のウールの毛布を運んできてくださり、「復興の手を止めることになるから」と、ご自身は飛行機を降りることなくモンゴルへトンボ返りされました。
 その時のことを兵庫県は非常に恩義に感じ、その後にモンゴル北部で発生した大規模な森林火災に対して、兵庫県が仕組みを作り、県内の企業として神戸製鋼所やコープこうべが資金援助を行う形で、森林再生プロジェクトが立ち上がりました。
 そして、行政と企業の取り組みだけではなく、民間での交流も発展させていきたいという思いが行政としてあったことから、私たちが住む兵庫県が行政として立ち上げ、グループ企業のトップである神戸製鋼所が企業として関わっているということで、社会貢献活動の一環として、その民間交流の部分を私たちユニオンがやろうということになったのです。
 最初は、マンホールチルドレンの支援という形で始まった活動ですが、単に物資を集めて送るだけの活動に疑問を感じ、いろいろと試行錯誤を重ねた結果、2004年にモンゴルの西端に位置するオブス県マルチン郡の小中学校へ図書を贈呈するという活動にたどり着いたわけです。このマルチン郡への図書贈呈は、単に支援をするというものではなく、図書贈呈を通じてお互いが交流するという新しい形になりました。
 2004年に、6名のメンバーが第1次図書贈呈団としてマルチン郡を初めて訪れました。その中に播磨製作所から冷水真吾くんという最年少のメンバーが参加していました。彼が現地で子どもたちと本気で遊び、バレーボールを教え、心と心の交流をしたことが、その後に続く図書贈呈の活動につながっていったのです。
 実際に、私も第2次図書贈呈団の一員として、2007年にマルチン郡を訪問したのですが、その時にマルチン郡の人々から「一番若くて一生懸命にバレーボールを教えてくれた彼は元気ですか?」「一度きりではなく、本当にまたマルチン郡に来てくれてありがとう!」という言葉を受けました。
 ですが、残念ながら、冷水くんは不慮の事故で帰らぬ人になってしまいました。しかし、彼が先駆者として仲間と一緒に切り開いたマルチン郡との交流の道は、後に続く仲間や後輩たちに引き継がれていきます。
 今年は、3年に1度となる図書贈呈の年に当たります。第3次図書贈呈団のメンバーが5月末から6月の初めにかけて、ふたたびマルチン郡の地を訪問することになります。私たちは、冷水くんたちがつないだ交流のバトンをしっかりと受け継ぎ、続く人たちに渡していくという思いを込めて、今回の交流イベントのタイトルを「冷たい水が流れをつなぐモンゴル」と名付け、プロジェクトの名前を「冷たい水プロジェクト実行委員会」と名付けました。
 そして、モンゴルとの交流は、私たちユニオンの役員だけがやっているわけではありません。ここにお集まりのみなさん方から、図書贈呈の資金となるバザー用の支援物資を提供していただき、また、バザーの準備を手伝っていただいた方もいらっしゃいます。そして、バザーに参加してくださった方もおられますし、お子さんたちが絵を描いてくれる等、さまざまな形で参加していただいたお陰で、ここまで交流が続き広がってきたと実感しています。
 本当にみなさんありがとうございます。
 今回は、モンゴルとの交流を、影になり日向になって支援していただいているみなさんと一緒に、モンゴルの文化に触れて少しでもモンゴルの大草原の風を感じていただきたいと考え、実行委員一同が知恵を絞り、ここまで準備をしてきました。
 プロの写真家であるガンゾリグ氏の写真展、マルチン郡の子どもたちが描いた絵画展、馬頭琴やホーミーの生演奏、モンゴルからの留学生のみなさんの協力による文化の紹介、そして私たちの活動を理解していただき、まったくのボランティアとして東京からお越しいただいた、モンゴル国特命全権大使であるジグジッド大使による基調講演と、他では体験できないプログラムとなっています。
 これからの半日が有意義でみなさんに満足していただけるよう、実行委員自身も今回のイベントそのもののスタッフ業務を楽しみながら参加していきたいと考えています。どうかみなさん、最後まで一緒に楽しんでください。