メッセージ
2010年3月27日


モンゴル国オブス県マルチン郡
小中学校校長
デンスマー

 遥か彼方、海を隔てた国である日本の神戸市より、神鋼環境ソリューション労働組合の皆さんが長年に渡り好意を持って使節団を結成し、私たちの郡を訪問していただいています。訪問の際には、小中学校の教師や学生及び住民を対象に、価値がある書籍を贈呈していただき、あわせてマルチン郡の住民との文化・スポーツ交流として、バレーボール等の友好試合、児童絵画の展示等の各種交流を行ってきました。このことに対し、私たちは非常に感謝し、また、皆さんの訪問を首を長くして待つようになっております。
 モンゴル国の西端に住んでいる私たちは、日本国及び日本国民についてあまり知識を持っていませんでしたが、若い皆さん方の訪問により、いろいろなことを知ることができました。皆さんとの交流や贈呈していただいた書籍によって、子どもたちが世界に目を向ける機会となり、勉強に励む姿を見ると、大変、嬉しい思いです。
 特に、一番最初の訪問団の中に、バレーボールが本当に上手な若者が参加しており、彼のことは住民の皆が良く覚えております。彼の名前は冷水真吾という元気な青年でした。  
 非常に残念なことですが、彼は一昨年の12月に事故で亡くなりました。その訃報を聞き私たちは大変ショックを受け、残念な思いでいっぱいでした。
 早いもので、今年は、冷水くんの三回忌になりますが、この場を借りて、彼のご両親及び一緒に活躍していた皆さん方に、冷水くんへの追悼メッセージを捧げさせていただきます。
 冷水くんが切り開き、私たちの間に築いた交流の懸け橋は、さらに強く結ばれこの先もずっと続くものと期待しています。私たちは、いつまでも彼のことを想いながら、交流を続けていきたいと思っています。
 最後になりますが、「エコユニオン・モンゴル友好協会」が設立され、当会の発足に併せて記念行事としての「モンゴル文化交流の集い」が開催されることに対し、成功をご祈念申し上げます。


  ウランバートル市
オブス県マルチン郡地域評議会会長
B.バトエルデネ
マルチン郡地域評議会幹事、
言語学博士
S.デムベレル

 モンゴル国は、1990年に起こった民主化により市場経済化へ移行し、まもなく19年が経過することになります。このわずか20年足らずの間に、日本国及び他の友好諸国の支援等により、我が国は民主化当時の混乱期を乗り切り、以後、一貫して発展を続けることができました。
 現在まで、我が国の様々な分野において、支援の手を差し伸べていただいている日本国政府及び日本国民のみなさんに対し、モンゴル国民は深く感謝し敬愛の念を持っております。
 しかしながら、モンゴル国内では、みなさんもご存知のように、地球温暖化の影響による南部地方の砂漠化拡大、首都であるウランバートル市への人口集中に起因した大気汚染や貧困化等、自然環境及び社会福祉の諸問題が深刻な状態となっております。
 こうした中で、神戸市の神鋼環境ソリューション労働組合のみなさんが、長年にわたってモンゴル国の中心部から遠く離れたオブス県マルチン郡に対し、友好的な交流関係を築いてこられたことは、当郡に住んでいる者だけではなく、ウランバートル市内やその他の地方に住んでいる当郡出身者にとっても、感謝の念に堪えない思いであります。
 これまで、マルチン郡の住民や小中学校の教員および生徒のために、貴重な本と教育資料、そしてスポーツ用品等を贈呈していただきました。また物品の贈呈だけでなく、現地訪問の際には、バレーボール等の友好試合、日本とモンゴル双方の歌の披露、児童絵画の展示、環境をテーマとしたパネルディスカッション等を行ってきました。こうしたスポーツと文化の交流が、日本とモンゴルの双方の人材育成にもつながるものと信じており、今日では、多くの郡の住民が、若手組合員中心とした貴組合の訪問団の来訪を心待ちにしているところです。
 このように我が郡で恒例となっている、すばらしい関係を更に末永く未来へ継続させて、日本とモンゴルの交流の橋渡しの役割を果たしていくことを祈念し、「モンゴル文化との交流と企画展」の開催に向けたお祝いのメッセージとさせていただきます。


モンゴル国の子どもたちに図書贈呈を
行っている日本の友人たちへ
児童小説家
J.ダシドンドグ

 「モンゴル文化との交流&企画展」の開催、大変におめでとうございます。
 モンゴル国の遥か西に位置するオブス県マルチン郡まで足を運んでいただき子どもたちに図書を贈呈していただいた神鋼環境ソリューション労働組合の皆さん、そしてその活動に賛同してくださっている皆さんに心から感謝いたします。
 私も皆さんと同じように、この世を救うのは「本」と信じております。私は、モンゴル国中を移動児童図書館で回りながら子どもたちへ本を読んでもらう活動を行っていますが、この活動を始めてから今年で19年目を迎えます。この間に移動した距離は地球を3周したくらいになります。貴組合の取り組みは私の活動と同じ志を持っています。貴組合の素敵な心の支援をモンゴル国民は一生忘れません。
 特に、マルチン郡を訪問し、子どもたちに本を贈り、バレーボールを通じて子どもたちと心から交流しながら親しくなった冷水真吾さんのことを、皆はいつも思い出しているでしょう。
 素敵な心でできた友好はいつも良い成果を生み、これからの将来をもっと素敵で明るくさせるということを私は固く信じています。子どもを一番早く成長させる「本」によって、田舎の子どもたちを支援していただいている皆さんに感謝します。
 私は移動図書館を行いながら、子どもたちに「アメを食べれば溶けて無くなってしまうが、本を読めば知識に残る」といつも言っています。
 本が子どもたちの将来を照らし、活躍の場がもっともっと広がるように。
 最後に、子どもたちの将来のため、貴組合の発展と成功をお祈りいたします。


子どもが読書をする国の未来は拓かれる
モンゴル国営放送
B.ナツァグドルジ

 大人たちは子どもたちのことを「未来」だと言います。彼らも大きくなった頃にそう思うでしょう。「未来」というのは時代ごとに現れる時の流れとも言えます。時の流れは早く、子どもたちの成長もあっという間で、つい最近まで赤ん坊だった子どもがいつの間にか両親より背が伸びて大きくなっているのです。健康で元気に育っている子どもを見るのは親の喜びなのですが、流れ去る時間の中で注意を払うべきことが一つあります。それは、子どもの知能の発達です。
 最近の親たちは子どもの服装や食事には気を遣いますが、知能を発達させることについてはあまり気を遣っていない様子が見られ、胸が痛みます。本当は、子どもの知能を発達させることが、服装や食事より重要なことなのです。
 物事に興味を持ち、物事を探索する時に役に立つものは「本」です。幼い頃から本を読んで育った子どもは心が豊かになり、物事に対する考え方や判断能力も良くなりますし、言葉の使い方も上達させてくれます。
 「本」に関して、モンゴルの有名な作家であるツェンディーン・ダムディンスレン氏は、
 『本というものは青空のように素晴らしく、 地球のように広く、海のように深いのだ。
  本を読むということは、空を飛び、地球を旅し、海を渡ることだ。』
と述べられています。本に親しんでいる子どもたちの思考は、明るくて広く豊かです。
 歴史的な作家たちが書いた数千冊の書籍は、その才能の表れというだけではなく、国民に対する養育や豊かな生活への呼びかけとも言えるでしょう。本は作家たちの深い知識から生まれたもので、厳しい生活の中でも何よりも大事にするべきです。『物を集めるより知識を集めなさい』という先人からの言い伝えを忘れてはいけません。モンゴル国民は、ハンガイ(森林)やゴビ砂漠が広がる豊かな自然の中を四季に合わせて移動する時には、ほかの何よりも「本」を大事にして持っていくのです。
 素晴らしい伝統的な習慣や文化に対して、子どもたちの心が離れつつある状況を見るたびに不安を感じます。大人となった我々には、人生の鏡とも知能の鍵とも言える伝統や文化を子どもたちに伝えるという重要な使命があります。
 科学が発展しIT化が進んでいる現代では、子どもたちが本に親しむようになるためには、親たちや先生などを含めた大人たち全員の協力が必要なのです。
 このような状況に対し、確実で効果のある活動を行っている親切な方々がいます。それはモンゴル国民ではなく、遙か遠く、日本の神戸市にいる、神鋼環境ソリューション労働組合の方々なのです。みなさんは人口が集中する都会ではなく、遠く離れたオブス県マルチン郡の子どもたちへ図書を贈呈していただいています。この活動は一回限りではなく、継続的に行われています。
 彼らは「我々がこのような活動を行っている」とマスコミへ宣伝しているわけでもありません。子どもたちにどのような書籍や道具が必要かということを事前に調査もされています。みなさんから伝わった気持ちは、一生、子どもたちの心から消えることがないでしょう。
 明るい気持ち、暖かい心で支援して来られた日本の若者たちの一人であった冷水真吾さんが事故でこの世を去ったことは今でも悲しく思います。でも、彼はマルチン郡の子どもたちの思い出の中に生き続いているのです。彼の両親にモンゴルの子どもたちの心が伝わり、まもなく日本からモンゴルに来られる予定であることも伺っております。
 日本の人々がモンゴルの地方の子どもたちの教育のために、心からの支援をしていただいています。未来となる子どもたちを知識や能力の豊かな国民に育てることは国民一人一人の義務であります。
 「子どもが読書をする国の未来は拓かれる」という言葉は堅いですが、事実なのです。読書することは本当に素晴らしいことなのです。
 最後になりましたが、「モンゴル文化との交流&企画展」の大成功と、日本とモンゴルの関係がますます深まることを祈念しまして、私からのメッセージとさせていただきます。